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「く……!」
何が起こるのか、どうなるのか、それは眼前で対峙しているディルト自身にも分からない。
だが、今から起ころうとしている事が、自分にとっておよそ好ましくない结果を生むものである事だけは……嫌という程に分かっている。
『ゆっくり楽しめよ、勇者サマ』
最前の魔族の声と、卑しげに歪められた口元を思い出し、ディルトが薄く整った唇をゆっくりと噛み缔めた、その时だった。
ごとん!
「!!」
今までの静かな物音とは打って変わって、盛大な音色が牢の中へと反响したのだ。
「だ、谁だッ!!」
反射的に吐き出した言叶と共に、繋がれた身体でできうる限りの构えを取ると、ディルトは目の前の樽を射抜かんばかりにねめつける。
一体……何が……!
ごくり、と唾を饮み込んで、痛む両腕に力を込めると同时に、ディルトは无意识のうちに爱剣の柄を探そうとして、それから短く舌を打った。
「く……ッ!」
记忆にはない剥夺と、完全に自由を夺われた事にいらだちながら、ディルトがいまだ足枷に捕らえられたままの両足を踏みしめ、身构えた途端。
ごとん!!
「ッ!!」
木制の樽はもう一度强く不穏な音を奏でると、その上辺部分から金属制の盖を弾き飞ばしたのだ。
强い势いと共に盖を跳ね上げた樽は、バランスを崩してそのまま横ざまに倒れ込むと、耳障りな音と共に、床の上を不规则な动きで転がった。
「な、なん…だ……!」
一切の予想もつかぬ出来事に、ただ歯列を噛んで全身を紧张させる事しかできないで、ディルトは目の前の成り行きを见守った。
繋がれた四肢、伤ついた身体、そして剥夺された武器や防具。
この状况で、人间よりも遥かに逞しい巨躯を持つ魔族たちに対し、自分が何をできるのか、それを考えると思わず触れた床を踏みしめる両足が震えそうになったが、ディルトはその不安と恐れを头ひとつ振るだけで打ち払う。
何があっても、どんな目に遭っても。
自分は、人々の最後の希望であり、勇者なのだ。
文字通り、勇ましく、闘わねばならない――!
「く…ッ!」
今一度、胸中の覚悟を正视して、ディルトが目の前に横たわった现実をまじろぎもせずに见つめ下ろしたその瞬间――。
ずるり……。
「!!!!」
まるで重たい生肉を引きずるような、生々しくも気味の悪い音色と共に、その物体はディルトの眼前へ遂に姿を现した。
08
「な、なん……ッ!!」
ずるり。
湿った石材を柔らかく重たい肉が擦るような、不気味极まりない音に両耳の鼓膜を侵されて、ディルトは无意识のうちに後ずさった。
ずるり。
闻こえた音の主は分からない。
目を凝らしても、暗い闇の支配する牢の中では、ディルトの目に使者の姿は映らなかった。
ずるり、ずるり、ずるり、ずるり……。
「くッ……!」
ゆっくりと、だが确実に、重く引きずられるような音色はディルトに向かって近づいてくる。
どこだ……!
どこに、いる……!!
见えぬ视界を上下左右に动かして、敌の姿を悬命に模索するディルトの耳には、変わらず絶え间ない不协和音が届き続けた。
「く、そ……ッ!」
そうして、见えぬ敌影に身を固めつつ、唯一のレーダーとなった聴覚を研ぎ澄ませながら、乾いた口腔で短く唾液を咽下した……时だった。
ずるり……!!
「!!!!」
ひどく近い场所で、唐突に响いた音色に、ディルトが『しまった…!』と身を跳ねさせた时にはもう遅かった。
ずるうッ…!!
「ッ!!」
太い枷に挟まれ、锁に繋がれたディルトの右の足首に、何か得体の知れぬねっとりとした物体が、络みつくようにしてその身をまとわりつかせたのだ。
こ、こいつは……!!
足に络んだ敌の正体を、瞬间的に察知したと同时に、ディルトは全身を捩って、その束缚から逃れようと跃起になった。
なぜなら。
テール……!!
头に浮かんだ固有名称を、噛み缔めた奥歯ですり溃しながら、ディルトは満足に动かす事のできぬ右足を暴れさせると、何とか相手を振りほどこうともがき続けた。
テール。
人间たちにそう呼称され、忌み嫌われるこの生物は、その名称とは里腹に、正しくは尻尾とは何の関系もない生物だ。
では、なぜそう呼ばれるか。
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